【医師監修】糖尿病ではなぜ禁酒?アルコールを楽しみたい方が知っておくべきこと

糖尿病治療において、食事や運動と同様に注意が必要なお酒。
糖尿病患者さんの場合、できればお酒は控えるに越したことはありません。
しかし、社会生活ではお酒を進められる場面も多いかもしれません。
お酒の我慢しすぎによるストレスも避けたいものです。

今回は糖尿病患者さんの上手なお酒との付き合いかたを見ていきたいと思います。

お酒の糖質・カロリーによる肥満、インスリン分泌・感受性への影響などが問題

なぜ、糖尿病患者さんは原則お酒を控えた方が良いのか、あるいは飲酒量の制限が必要になるのでしょうか?
その理由をいくつか挙げてみましょう。

①アルコールによるカロリー過剰摂取

お水はノーカロリーですが、お酒にはカロリーがあります。

  • 缶ビール1本(350ml) 約140Kcal
  • ワイン1杯(約120ml) 約85Kcal
  • 乙類焼酎1合(180ml)  約 260Kcal
  • ウイスキー シングル(30ml)  約71Kcal
  • 日本酒1合(180ml)  約 193Kcal

ごはん1膳普通盛り(140g)は235Kcal。実は、焼酎1合のほうがご飯1膳よりカロリーが多いのです。
また、肝臓がアルコールを分解する過程 で中性脂肪を合成するため、脂肪肝や中性脂肪の増加を招きやすいという問題もあります。

②アルコールの食欲増進作用

ビールやワインなどのアルコールには胃液分泌作用があるため食欲が増進します。おつまみをついつい食べ過ぎてしまって、カロリーを摂り過ぎた・・・ということが起こりがちです。

③味の濃いおつまみによる塩分過剰摂取

お酒には味付けのしっかりした、塩辛いものが多いおつまみを選びがちですが、塩分の摂り過ぎは血圧上昇を招くので注意が必要です。
高血圧は動脈硬化を進行させたり、糖尿病にも悪影響を与えてしまいます。

④インスリン分泌や感受性に影響を与える

血糖値を下げるインスリン は、アルコールの影響を受けて、感受性の悪化や分泌量の低下がおこりやすくなります。
そのため血糖コントロールが悪くなりがちです。

⑤低血糖を起こすことも

おつまみを食べずに、糖質が含まれないお酒を飲んでいると低血糖を起こしてしまう可能性があります。
通常、私たちの体は血糖が低くなると、肝臓に貯蔵しているグリコーゲンを分解したりして血糖を正常に保とうと働きます。
しかし肝臓には、アルコールを分解する働きもあり、血糖不足の状態であっても、肝臓はアルコールがあればアルコールの分解を優先して行うため、血糖が供給されないままの状態が続いてしまい、低血糖を起こしてしまうのです。これを「アルコール性低血糖」といいます。

アルコール性低血糖を防ぐためにも、適度なカロリーのおつまみで栄養補給をしながらお酒を飲むようにしましょう。

⑥アルコールによる肝臓・膵臓への影響

慢性的な飲酒によって起こる「肝硬変」、アルコールの摂り過ぎによって起こる「アルコール性膵炎」など、大量の飲酒では肝臓や膵臓へのダメージが懸念されます。アルコール量として1日60g(日本酒約2合半、ビール大瓶約2本半)を5年以上連続して摂ると、臓器障害のリスクが高まるといわれています。

アルコール飲料に含まれる「糖質」。「糖質ゼロ」だから安心、ではない

アルコール飲料の中でも、日本酒・ビール・ワインは糖質を含みます。
一方で、蒸留酒と呼ばれるもの(ブランデー・ウィスキー・焼酎など)は糖質を含みません。
ただし、焼酎で作るチューハイには、シロップなどが加えられていることが多いので注意しましょう。

そのため、糖尿病患者さんが飲酒する場合には蒸留酒のほうが良いといわれています。
しかし蒸留酒は確かに糖質はゼロですが、アルコール自体にインスリン分泌・感受性を抑える作用があります。
「糖質ゼロだから大丈夫!」と安心して飲み過ぎないように気を付けましょう。

「糖質ゼロ」「糖質オフ」表記の注意点

糖質やカロリーが気になる方は、各社から販売されている「糖質ゼロ」「カロリーオフ」などのアルコール飲料を利用してもいいでしょう。
注意したいのは、「糖質ゼロ」でもカロリーはゼロではないという点。
その点にも留意してアルコール飲料を選びたいですね。

◎健康増進法に定められた表記基準例
「糖質ゼロ」  100mlあたりの糖質が0.5g未満
「糖質オフ」  100mlあたりの糖質が2.5g未満
「カロリーオフ」100mlあたりのカロリーが20Kcal未満
「カロリーゼロ(ノンカロリー)」100mlあたりのカロリーが5Kcal未満

飲酒は必ず医師と相談。血糖値・体重などの状態が安定していることが飲酒OKの条件

一般的に、糖尿病では先述のさまざまな理由から原則的に禁酒が望ましいとされています。
しかし、状態によっては飲酒OKの指示が出ることもあります。
お酒を楽しみたい方は、まずは医師に聞いてみましょう。

一般的に、飲酒が許される糖尿病の基準は以下の通りです。

*血糖コントロールが良好で安定している。
*体重コントロールができている。
*合併症や、飲酒制限が必要なほかの病気がない。
*血圧が高すぎない。動脈硬化があったとしても軽度である。
*飲酒量を守ることができる。

もし医師からOKが出た場合には、医師に飲んでも良いお酒の量を尋ねましょう。

目安は、1日分の純アルコールで20g以内。ビールであれば男女ともに500mlを1缶/日までです。
低血糖を避けるために、お酒だけを飲むことは避け、栄養バランスも考えた低カロリーなおつまみを一緒に摂りましょう。
豆腐・枝豆・お刺身・焼き魚・ししゃも・オムレツなどはタンパク質が豊富です。
サラダやおひたしでビタミン補給が、お茶漬けやおにぎりなどで炭水化物補給ができます。
もちろん食べ過ぎには十分注意してくださいね。

「糖質ゼロ」飲料なども利用してお酒を楽しもう。しかし、自制心は忘れずに

アルコールがインスリンの分泌や感受性に影響を与えることや、お酒の効果で食欲が進みやすいこと・お酒そのもののカロリーや糖質から肥満を招きやすいことなどから、糖尿病患者さんにおいては禁酒・節酒が基本。
飲酒する場合は必ず医師への相談の下、飲酒量を守り、おつまみの食べ過ぎに注意する自制心が大切です。

糖質・カロリーの摂り過ぎを防ぐために、「糖質ゼロ」「カロリーオフ」などのアルコール飲料を選択するなど賢い選択をしましょう。
種類や飲み方に迷うときは、こちらのサイトも参考になりますので活用してみても良いでしょう。

https://jp.diabetes.sunstar.com/food/list03.html

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