「インスリン注射 = 糖尿病」の悪化は誤解!正しい知識を身につけよう!

「インスリン注射を打つことになったら病状が悪くなっているのだろうか」「一生打ち続けなければならないのではないか」などインスリン注射に対して悲観的、否定的に捉えていませんか?
確かに注射というだけで、少し怖いイメージがあるかもしれません。

今回は、インスリン注射という治療法の正しい知識について、注意点を交えてご紹介します。

どうしてインスリン注射が必要なの?

「注射は怖い」「体に負担になりそう」などの理由からインスリン注射ではなく、他の治療法ではダメなのかと思われる人も多いのが現状です。
インスリン注射による治療法(インスリン療法)が必要と判断されるのは、次の状態に当てはまる場合です。

インスリン療法の適応

  • 食事療法や運動療法、経口薬(飲み薬)による治療法でうまく血糖コントロールができないとき
  • 著しく高血糖状態にあって血糖値をすぐに下げなければならないとき
  • 糖尿病患者さんが外科的な手術をするとき
    (全身麻酔をするとその間血糖コントロールができなくなるので、手術中に血糖コントロールをインスリン注射によって行う場合があります)
  • 重度の感染症にかかったとき
    (外科的手術時と同様に、飲み薬での血糖コントロールが難しいと判断された場合に使う場合があります)
  • 糖尿病患者さんが妊娠したとき
    (血糖を下げる飲み薬には、胎盤通過性があり、胎児に奇形や低血糖をもたらす可能性があり、また授乳中も母乳を介して赤ちゃんが低血糖になるリスクがあります。そのため、胎盤を通過せず、母乳にも移行する恐れのないインスリン注射を使います)
  • 1型糖尿病を患っている場合
    (血糖を下げるために必要なインスリンを自分で分泌することが困難なため使用することがあります。(ただし、病状による))

2型糖尿病の場合は、これ以外にも、膵臓からのインスリンの分泌を促進する「SU剤」という飲み薬を使っている場合、膵臓が働き過ぎて疲れてしまいますので、膵臓を休め、インスリンを分泌する力を温存し、糖尿病の病状の悪化を遅らせる目的でインスリン注射に切り替える場合があります。
この方法で脾臓の働きが戻り、血糖コントロールの改善が見られれば、インスリン注射をやめることも可能となります。

また、インスリン注射単独ではなく、飲み薬とインスリン注射を併用する場合もあります。
インスリン注射は、医師の診断のもと、一人一人患者さんの状態に合った方法で治療に取り入れていきます。

インスリンは人間の体の中で唯一、血糖を下げることのできる大切なホルモンです。
インスリンの効きが悪くなったり、分泌量が減ってくると血糖値が高くなり糖尿病を進行させてしまったり、合併症を起こすリスクが高くなるので、それを防ぐためにもインスリン注射が必要な場合には医師の指示でインスリン療法を開始します。

インスリン注射の打ち方や注意点は?

インスリン注射は自分自身で皮下注射を行うのが一般的です。
皮膚と筋肉の間にある皮下組織に打つため、筋肉注射などと比較すると痛みの少ない注射です。

注射といっても、「ペン型注射器」というもので、使い捨ての針を装着し、注射をする場所を消毒し、注入ボタンを押すだけの簡単なもので、医師や看護師が使うような注射器ではありません。

インスリン注射の注意点

1.医師から指導された時間、インスリンの量(単位)をきちんと守る

インスリンの効果をきちんと発揮させるために非常に重要なことです。

2.針をまっすぐに取り付ける

斜めになっているとインスリンが出てこないことや、注入ボタンがうまく押せない場合があるためです。

3.インスリンが白く濁っている場合は均一に混ぜてから打つ

インスリンの効果がきちんと発揮されず、血糖コントロールが乱れる可能性があるためです。

4.注射針は毎回交換する

衛生を保つためや、針先が曲がることがあるため、注射針は毎回交換するようにし、使用後は針をつけっぱなしにしないようにしましょう。
カートリッジは家庭で廃棄できますが、注射針は医療機関で回収しますので、瓶やペットボトルなど蓋のしまる密閉容器に保管し、受診時に渡すようにしましょう。
また、ビニール袋や紙袋は針が貫通する危険があるので避けましょう。

5.毎回、空打ちをする

空打ちは、カートリッジ内の空気を抜くために必要な操作です。
また、針が正しく装着できているか、注射器がきちんと使えるかを確認するためにも大切な操作です。

6.前回の注射箇所と約2cm離して注射する

同じ場所ばかりに注射していると、皮膚が硬くなり、インスリンの吸収が悪くなるためです。
理論的にはどこに注射しても良いのですが、どこに注射したか、ちゃんと注射したかをきちんと管理するためにも2cmずつ離して打つ方法が便利だとされています。

インスリン注射の種類や特徴

インスリンの分泌は、常に一定量分泌される「基礎分泌」と、食事の際に血糖値の上昇に合わせて一過性で分泌される「追加分泌」の2つからなります。

インスリン濃度
(出典:http://www.club-dm.jp/column/5/3.php)

生体のインスリン分泌に合わせてなるべく生理的なインスリン分泌に近づけるように、患者さんそれぞれの病態に合わせてインスリン注射剤を使い分けます。

インスリン注射薬
(出典:https://www.diabetes.co.jp/insulintherapy/actual.aspx)

インスリン注射剤の種類

1.超速攻型

追加分泌を補います。食事直前の注射で、食後高血糖を改善します。
効果発現までに10分〜20分と早く、効果持続時間も3〜5時間と短いので低血糖のリスクが少なく使いやすいのが特徴です。

2.速攻型

追加分泌を補います。食事の約30分前に注射し、食後高血糖を改善します。
効果発現までに30〜1時間かかり、効果持続時間は5〜8時間となっていますので、次の食前に血糖値が下がりすぎないように投与量を調整して使います。

3.中間型

基礎分泌を補います。
1日1回または1日2回の使用で、インスリンの効果が18〜24時間持続するように作られています。
朝食前に注射し、空腹時血糖の上昇を抑制します。

4.持効型

基礎分泌を補います。24時間作用するように作られており、空腹時血糖の上昇を抑制します。
インスリン濃度のピークが低いため、低血糖を起こすリスクが少ないのが特徴です。
病状やライフスタイルによって1日1〜2回注射します。

5.混合型

超速攻型、速攻型、中間型のインスリンを色々な割合で混合したものです。
基礎分泌と追加分泌の両方を同時に補えるように作られています。
ライフスタイルが一定の人に使いやすいとされています。

どのタイプのインスリン注射剤を使うのかは、患者さんのライフスタイルや病態によって変わってきますので、医師と相談しながら決めます。
インスリン注射に不安や疑問を抱えている場合には、一人で悩まずに医師や看護師に相談し、安心して治療に望めるようにしましょう。

インスリン注射は怖くない!

いかがでしたか?
「怖い、嫌だ」「このまま一生注射を打ち続けないといけないのか」など不安を生みやすいインスリン注射ですが、病態によって一度インスリン注射を始めても、その必要がなくなる場合もあります。
また注射自体も傷みが少なく、自分で簡単に打てるように設計されているので安心です。

血糖コントロールを良好にし、糖尿病の進行を食い止めたり、合併症を起こしたりしないためのインスリン注射なので、医師の指導の下、正しい理解を身に付けて、きちんと治療を続けていきましょう。

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