治療と予防コラム

オンラインゲームが認知行動療法に活用できる。発表された研究の内容とは?


オンラインゲームで2型糖尿病が改善する可能性が

認知行動療法は、2型糖尿病患者さんでさらにうつ病を併発している方の治療方法として効果が確認されています。2012年に米国のロヲラ大学が発表した研究では、女性の2型糖尿病患者さんを対象にした認知行動療法にもとづくグループ療法のプログラムに6ヶ月間参加した人たちは、通常の治療だけを受けていた人たちに比べて、うつ病を併発している割合が大幅に低くなっていたことが報告されました。


さらに、この認知行動療法を一歩進めたオンラインゲームによる療法もあります。米国のハーバード大学および米退役軍人省ボストン・ヘルスケアシステムのB.Price Kerfoot氏らの研究チームでは、オンラインゲームを取り入れた認知行動療法が血糖コントロールに及ぼす影響について調べた研究を行いました。

この研究では、降下薬を服用しているにも関わらずHbA1c値が7.5%以上の2型糖尿病患者さん456人が対象となりました。対象になった人たちを2つのグループに分け、一方のグループには一般的な教育ゲームに参加してもらい、もう一方のグループには糖尿病の自己管理について学習できるチーム対抗のオンラインゲームに参加してもらいました。後者のグループが参加したオンラインゲームでは、血糖管理と運動、長期的な合併症、薬物療法などに関する問題が、週2回で2問ずつ、メールや携帯アプリを通して受け取れます。問題に答えると正解と解説が閲覧できますが、正解の回答した場合はポイントが加算されて、個人戦に反映される仕組みとなっていました。

ゲームを始めてから6ヵ月後と12ヵ月後にHbA1c値を測定したところ、一般的な教育ゲームに参加したグループでは12ヵ月経っても0.44%の低下に留まっていたものの、オンラインゲームに参加したグループでは0.74%低下していました。中でもHbA1c値が9.0%を越えていた患者さんのグループでは、特にHbA1c値が低下する傾向がみられました。

この結果は、研究開始から1年後の目標範囲には届いていませんでした。しかし研究に関わったKerfoot氏は、オンラインゲームに参加したグループでは、新しく薬物療法を開始した時に近い値でHbA1c値が改善したと説明しています。このオンラインゲームをさらに続けると臨床的にも有意義な血糖値の改善につながる可能性があると捉えており、この研究で得られた結果に期待を寄せています。

今回お伝えした認知行動療法の目的とオンラインゲームを用いた研究で共通しているのは、治療には自分の状況を正しく把握することが大切であり、改善に向けた取り組みの基本になるという点です。また、オンラインゲームに参加した糖尿病患者さんの多くがゲームを楽しみ、今後も続けたいと考えていることも、効果を高める要因であると考えられています。

研究に用いられたオンラインゲームは特別に設計されたものであり、今すぐ治療に活用できるわけではありません。ですがこの研究に示された、糖尿病治療について学習する大切さを意識して行動することで、自身の状況を今より良い形に変えていける可能性があります。

参照・参考
認知行動療法とは|認知行動療法センターのご案内|認知行動療法センター
Group Therapy is an Effective Treatment Option for Depressed Women with Type 2 Diabetes | Gottlieb Fitness Center
Online team-based game helps patients with diabetes lower blood glucose | EurekAlert! Science News
A Team-Based Online Game Improves Blood Glucose Control in Veterans With Type 2 Diabetes: A Randomized, Controlled Trial | Diabetes Care

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