治療と予防コラム

仮設住宅の暮らしをサポート。健康支援プログラムの内容とは?


仮設住宅の健康をサポートする産学官連携の取り組みとは

一方で、自然災害は後を絶たず、健康管理についてもある程度の指針が必要です。こうした背景から、筑波大学とつくばウエルネスリサーチ・日本IBMなどの11の組織と企業は互いに連携し、健康増進を目的としたプログラムの策定を行いました。

このプログラムでは、東日本大震災の影響で福島県伊達市の仮設住宅に入居している126世帯の人たちが対象となりました。
彼らは、仮設住宅の集会所に『統合健幸ステーション』を設置して、ICT(情報通信技術)による体調モニタリングや健康づくりに関する指導を行ったり、科学的な根拠にもとづいた健康づくりの支援プログラムを実施するといった形で、入居者の健康づくりをサポートする取り組みを行いました。

さらに、つくばウエルネスリサーチでは遠隔血圧計モニターシステムや血圧計・歩数計の提供を通してデータを収集し、健幸ステーションの指導員や筑波大学の付属病院が情報を共有できるシステムを構築しました。このシステムを利用して筑波大学のスタッフが毎日の血圧モニターを行い、入居者の健康管理を行いました。

また、健康づくりのためには入居者同士の結びつきも大切だという考えから、このプログラムでは入居者同士の絆を深めるイベントを開催したり、健康づくりのために集まる機会を定期的につくるなどして、コミュニティの形成につながる取り組みも行っています。

つくばウエルネスリサーチは、公式ウェブサイトの中で「歩数計を配布しプロジェクトがスタートすると同時に、仮設住宅周辺を積極的に歩く住民が増えた」「運動の成果は体力年齢の低下はもちろん、血圧データ及び血液データに良い影響を与えており、個別プログラムによる運動指導の効果が確認できた」と、良好な成果が得られたことを紹介しています。

この取り組みは国土交通省が作成した『東日本大震災の復興における都市政策と健康・医療・福祉政策の連携及びコミュニティ形成に関するガイドライン』の中で、参考事例の1つとして紹介されました。

ここで紹介した取り組みからもうかがえるように、災害によって仮設住宅や避難所での生活を送らなければいけなくなった場合には、細かな健康管理と身近な人たちのコミュニケーションが重要な課題となります。

大きな災害によって慣れない環境での生活を余儀なくされる可能性は、誰にでもあります。

仮設住宅の生活での課題や、今回の事例をはじめとしたさまざまな取り組みについて関心を持つことも、その時のための大切な備えだといえるでしょう。

参照・参考
厚生労働省│被災地での健康を守るために
つくばウエルネスリサーチ
国土交通省│東日本大震災の復興における都市政策と健康・医療・福祉政策の連携及びコミュニティ形成に関するガイドライン

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