【医師監修】旧「FDA分類」から考える、胎児への影響。妊娠中にインスリンを投与しても大丈夫?

FDA分類

サリドマイド禍に代表されるように、妊娠中の医薬品の投与は胎児に深刻な危険を及ぼすことがあります。このため国によっては薬物ごとに、胎児への危険がどの程度なのかを示す基準を設置しています。

アメリカ食品医薬品局(FDA)による5段階の「FDA分類」もそのひとつでした。2015年に廃止され、新ルールに移行したものの、大きな影響のあった「FDA分類」とはどのようなものだったのでしょうか?

旧「FDA分類」とは?

「FDA分類」は1979年に米国食品医薬品局(Food and drug Administration:FDA)により定められた薬物のリスク表示ルールです。この基準では、薬物の危険性がA・B・C・D・Xの5段階評価で示されました。

・カテゴリA:ヒトに対する研究の結果、リスクが証明されず、胎児に障害が及ぶ可能性が低いと判断されるもの
・カテゴリB:動物実験において胎児へのリスクが証明されておらず、ヒトに対する研究は行われていないもの、ある
いは動物実験では胎児への悪影響が証明されたが、ヒトに対する研究では証明されていないもの
・カテゴリC:動物実験において胎児への悪影響が証明されたもの、あるいは動物実験やヒトに対する研究が行われていないもので、投与する利益が潜在的リスクを上回るもの
・カテゴリD:ヒトに対する研究を通して致命的なリスクが示されているものの、投与する利益がリスクを上回るもの
・カテゴリX:動物やヒトに対する研究を通して致命的なリスクが示されており、投与する利益よりも明らかにリスク
の方が大きいもの

5つのカテゴリのうちA~Dは、リスクがある場合でも治療上の利益が大きければ投与することが認められ、カテゴリXは胎児へのリスクが大きいため、妊娠中や妊娠前の女性に投与することは不可とされてきました。

インスリンにも用いられていた旧FDA分類

日本で販売・使用されるインスリン製剤も旧FDA分類にのっとり、添付文書にA~Xまでのカテゴリが示されてきました。アメリカで販売されていないものを除き、主な製剤はB・Cのカテゴリに属するものでした。胎児に対するインスリンの安全性は、必ずしも確立しているわけではないといえます。

旧FDA分類は2015年に廃止。その後のリスク表示は?

2015年6月、FDAでは5段階の基準を撤廃し、記述式で薬物のリスクを示す新方式を導入しました。カテゴリが誤って解釈される、十分なリスクの違いを表すことができていない、といったことが理由でした。

「PLLR」ルールではカテゴリ評価ではなく、記述式で該当薬物を投与した場合のリスクを示すことになっています。

日本でも2018年現在では、旧FDA分類のカテゴライズに拠るのではなく、医師が製剤の利点や欠点を説明した上で、インスリン投与を含む治療方針を決めていくこととされています。インスリン製剤は添付文書上、基本的に妊娠中の投与については「慎重投与」と記載されています。製剤の情報、妊娠中の投与については、十分なコミュニケーションをとって治療を進めていきましょう。

参照・参考
Federal Register / Vol. 73, No. 104 / Thursday, May 29, 2008 / Proposed Rules
糖尿病診療ガイドライン2016 妊婦の糖代謝異常
胎児危険度分類基準
専門医のためのアレルギー学講座 ⅩⅤ.妊娠とアレルギー疾患 2.妊娠と薬
日産婦誌58巻6号研修コーナー
妊婦・授乳婦への薬物療法の基本的考え方
医薬品安全性情報Vol.13 No.02(2015/01/29)

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