治療と予防コラム

活用が広がるIoT。健康の向上に期待できる効果とは?


IoTが生活習慣の変化を促す

こうした動きは、実際の現場での研究にも広がり始めています。NTTデータ経営研究所は、埼玉県と日本医師会、日本医師会総合政策研究機構、埼玉県医師会などと協力して「IoTを活用した埼玉県糖尿病重症化予防継続支援事業」を行いました。

この事業の対象になったのは、埼玉県内のかかりつけ医の通院治療を受けていて、HbA1cの値が6.5%以上、経口血糖降下薬を1種類以下服用していて、腎症2期以下という条件に該当している、55人の2型糖尿病患者さんです。

参加者は血圧や体重、ウォーキングの歩数といったデータをスマートフォンのアプリに送信し、グラフなどの方法で可視化しました。さらに「3日以上の血圧・体重データの登録がない場合はヘルプデスクが参加者に直接電話をかけて登録をうながす」などの運用ルールが設けられました。

参加者のかかりつけ医は診察時に計測した血圧や歩数、体重といったデータを閲覧して、運動や食事などの指導を行いました。

こうした形で3ヶ月間の計測を行ったところ、週に1回以上のウォーキングや体に良い食習慣を積極的に取り入れる人の割合が増加し、健康への意識が高まるという結果が得られました。

また、医師と参加者の双方が体調管理への理解度が増えたことで、コミュニケーションが向上するという報告も多く寄せられました。

この事業は、IoTによるデータの計測は生活習慣の改善をうながし、より効果的な糖尿病治療に役立てられる可能性が高いことを示しています。今回の結果をふまえ、今後は日本糖尿病学会や日本医師会、各自治体などと連携し、糖尿病患者さんを対象にした新しい事業を行うことも検討され始めています。

今回は一部の例を紹介しましたが、IoTの普及にともない、今後はより幅広い形で糖尿病の治療や予防に活用されるはずです。IoTに注目すると、予防や改善に役立つ情報が多く得られるかもしれません。

参照・参考
富士通株式会社│糖尿病の重症化予防を支援するシステムの実証研究を開始
経済産業省│IoT・健康情報を活用して糖尿病の改善を目指す実証事業を開始し、「ヘルスケア・データ・コミュニティ」を設立します
株式会社NTTデータ経営研究所│IoTを活用した埼玉県糖尿病重症化予防継続支援事業

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