治療と予防コラム

減塩以外にもいろいろある、血圧を下げる方法

糖尿病患者さんが高血圧を併発していると、脳卒中・心筋梗塞、糖尿病腎症・糖尿病網膜症といった合併症のリスクがさらに高まります。
高血圧である糖尿病患者さんの降圧目標値は、130/80mmHg未満で、家庭では125/75mmHg(出典:糖尿病診療ガイドライン2013 p183、高血圧治療ガイドライン2014 p75~76)です。


今回は、高血圧を防ぐ方法を、食事・生活習慣・薬に分けて解説していきます。


減塩だけではない、食事で血圧を下げる方法

食事で血圧を下げるには、まず食塩の摂取を控えることが重要です。
食塩の1日の摂取量は、6g/日未満に制限します。


食塩の摂取量を減らす方法と、食塩を減らしてもおいしく食べる工夫

  • 漬け物や干物等は塩分量が多いので、なるべく食べる量を減らす。
  • しょうゆやソースはかけずにお皿に出して、つけて食べる。
  • お酢やレモン・すだち・かぼす等といった酸味や、唐辛子等の香辛料を使って味にメリハリをつける。
  • 出汁の味を強めに効かせる。
  • 薬味・ハーブで香りづけをする。

かまぼこ・はんぺん等の魚の練り物、ハム・ベーコン等の肉加工食品、カップ麺などにも塩分が多く含まれているので注意が必要です。

また、血圧を上げないための食事として、米国では 低脂肪・低コレステロールで、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラル類を多くとることが推奨され、日本でも参考にされています。
(出典:OMRONページ http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/guide/hightbp/07.html)


そのためには、野菜、くだもの、ナッツ類、豆類、魚類、低脂肪乳製品が良いとされています。
コンニャク・いも類の水溶性食物繊維は過剰なナトリウム(食塩)の排泄を促し(出典:高血圧治療ガイドライン2014 p40~41) 、血圧の上昇を抑えます。
また、野菜・くだもの・いも類に多く含まれるカリウムは、ナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる働きがあります。
加えて、カルシウム不足の改善は高血圧に効果があるとされていて、ナッツ類に多いマグネシウムも、カルシウムとバランス良く摂る必要があります。

ただし糖尿病腎症がある場合には、カリウムの排泄がうまくできないため、カリウムの摂取を制限する必要があります。
(出典:公益社団法人 日本栄養士会 http://www.dietitian.or.jp/consultation/e_07.html)


血圧を下げるための運動は30分の運動も10分×3で考え、毎日続けることが大切

食事以外の生活習慣で血圧を下げる最も身近な方法は、運動です。特に有酸素運動は、体重・体脂肪の減少、インスリン感受性の改善に役立ち、降圧効果も得られます。

日本糖尿病学会では、少なくとも10分以上の運動で、合計して1日30分を超える運動を勧めています。
運動強度は、「楽である」または「ややきつい」と感じる程度が目安です。

普段の生活の中で、移動の際に少し速く歩く、階段を使う、遠回りするなどでも効果的です。
通勤・通学・買い物などの外出を上手く使って、意識的に運動を取り入れてみましょう。
家やオフィスでのちょっとした空き時間に、ラジオ体操やヨガ、ストレッチ体操をするのも良いでしょう。
10分×3セットのように、細切れでも毎日続けていくことが重要です。


肥満と高血圧、アルコール・喫煙と高血圧の関係 

肥満の人は、循環血量が増え、血液を送り出すために大きな圧力が必要となったり、過食による塩分過多によって、高血圧のリスクを高めてしまいます。
体重kg ÷ (身長m)2で計算されるBMIが、25を超えている場合は注意する必要があります。


アルコールは、少量であれば血圧を下げる働きがありますが、長期間飲み続けると高血圧リスクを高めると言われています。(出典:http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph32.html)
1日女性は20mL、男性は30mLまでにします。ビールなら350mLでアルコール15mL弱になります。


タバコは、交感神経を刺激し血管を収縮させて血圧を上げるので原則的に禁煙が望ましいでしょう。


糖尿病の人のための血圧を下げる薬

糖尿病において、血圧を下げる薬として一般的に用いられるのが、「ACE阻害薬」と「ARB」と呼ばれる薬です。

「ACE阻害薬」は、末梢血管を拡げる他に、インスリンの効きを良くする働きもあります。
また「ARB」には、末梢血管の拡張の他に、糖尿病性腎症を改善する働きもあることから、糖尿病患者さんに広く用いられています。
これらの薬は、1日1回のものから3回のものまでさまざまな用量のものがあります。薬を服用する際には、医師の指示に従って正しく服用するようにしましょう。


血圧を下げる薬は、その作用に伴うめまいやふらつきが出ることがあるので、薬を飲んだ後は高い所での作業や車の運転などの危険を伴う操作はしないようにします。


血圧のコントロールは、食事と運動が基本 

血圧のコントロールは、薬だけに頼るのではなく、塩分を控える等の食事療法と、有酸素運動等による運動が大切です。
糖尿病患者さんの場合、高血圧は動脈硬化による血管障害を起こすリスクを高め合併症を誘発しやすくなるので、合併症を起こさないためにも早めにしっかり血圧もコントロールを続けることが大切です。

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