糖尿病でも元気な赤ちゃんを出産できる!その対策と注意点

糖尿病をもつ女性の悩みのなかで「妊娠、出産」をあげる人も少なくないでしょう。
しかし、糖尿病を抱えながらの出産は、妊娠前~出産後にかけ血糖値をしっかりと管理していれば、妊娠、出産によるリスクを回避することが可能。
もう、糖尿病では出産できないという時代ではありません。

今回は、そんな糖尿病女性の妊娠、出産の留意点について詳しくご説明しましょう。

元気な赤ちゃんを出産するためには「計画妊娠」と「血糖コントロール」が必須

血糖コントロールが悪い状態で妊娠、出産すると、母体にも胎児にも大きなリスクを伴います。
そのため、糖尿病女性の出産は、妊娠前から血糖値を正常範囲内にコントロールしておくことが必須条件となります。

ここでは、高血糖による妊娠、出産のリスクについて触れてみましょう。

妊娠初期(4~9週)は胎児のさまざまな臓器が作られる時期です。
妊娠前~妊娠初期にかけてお母さんの血糖値が高いと、お腹の赤ちゃんの血糖値も高い状態となります。
それにより、赤ちゃんの身体にダメージを与え、流産や先天奇形を合併するリスクが高まります。

特に妊娠初期のHbA1cが8%以上になると、20~30%の胎児が奇形を合併する可能性がでてきます。
しかし、この時期には妊娠に気づかないこともあるので、妊娠を希望する場合、妊娠前から血糖コントロールをおこなっていることが重要です。

また、妊娠中の高血糖は、胎盤を通してのブドウ糖が過剰に赤ちゃんに供給されるため、赤ちゃんが異常に大きくなってしまいます。
そうなると、出産時の赤ちゃんの体重が4kg以上になる「巨大児」として生まれる危険性や、出産直後に低血糖によるこん睡状態に陥る可能性も出てきます。

お母さんにとっても妊娠中の高血糖はリスクが高く、網膜症や糖尿病腎症などの合併症を持つ場合、その症状が悪化したり、合併症がなくとも糖尿病ケトアシドーシス(糖尿病昏睡)や妊娠中毒症、出産時脳出血、難産などの可能性が高まります。

このような理由からも、糖尿病をもつ女性が妊娠、出産を考える際には、安全に赤ちゃんを出産するために、医師と相談しながら血糖値をコントロールし、計画的に妊娠、出産を考えていくことが大切です。

(参考HP:http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/tmc/media-seminar.html)

糖尿病を抱えながらの妊娠。その時、食事療法はどうすればいいの?

妊娠中の食事療法は、赤ちゃんの発育とお母さんの健康のため、妊娠に必要な栄養とカロリーを摂取し、妊娠時の体重増加の上限はBMIが18.5以下の場合は9~12kg、BMI18.5~25未満で7~12kg、BMI≧25では約5kgを目標とします。

具体的な一日の総カロリーの計算方法は次の通りです。

◎一日の総カロリー数の計算法

妊娠前の体重×30kcal+付加量

(付加量)
前期 50kcal
中期 250kcal
後期 500kcal
授乳期 450kcal
(参考HP:http://www.dm-town.com/oneself/howis03.html)

例)妊娠前体重が50㎏の女性の場合
前期) 1,550kcal (50kg×30kcal+50kcal)
中期) 1,800kcal (50kg×30kcal+250kcal)
後期) 2,000kcal (50kg×30kcal+500kcal)
授乳期) 1,950kcal (50kg×30kcal+450kcal)

一日の総カロリー数を計算し、次に食品交換表に沿って一日に必要な栄養素にカロリーを配分していきます。
栄養素配分は医師、管理栄養士によって個々の血糖状態を考慮して決定されます。

実際の治療例をみてみましょう。
食品交換表を元に一日の適正単位(1単位=80kcal)を配分し、3食の食事を割り振ります。

(標準体重50kg、妊娠後期の妊婦の場合)
表1 ⇒ 12単位 (960kcal)
表2 ⇒  2 単位 (160kcal)
表3 ⇒  6 単位 (480kcal)
表4 ⇒  2 単位 (160kcal)
表5 ⇒  1 単位 (80kcal)
表6 ⇒  2単位 (160kcal)
(※数値は筆者の実体験によるものです。配分は人によって異なりますので、医師や管理栄養士の指示に従ってください。)

このほか、妊娠中の食事として注意したい点

  • 脂質は体重増加、動脈硬化を促進するため、揚げ物など、油を多く使う食事は控えましょう。
  • パン食、麺類のメニューは油や塩分が多くなりがち。和食中心のメニューを心掛けましょう。
  • 医師の指示によっては、食後の高血糖を防ぐために一日に4~6回に小分けに摂取する「分食」を勧められる場合もあります。
    医師の指示を守り適正な食事療法をすすめましょう。

服薬治療中の人は、インスリン注射にシフトチェンジ

糖尿病の女性は妊娠前~妊娠中にかけて、より厳密な血糖コントロールが必要となります。
そのためには、まず食事や運動での血糖値コントロールを行い、それでも不十分な場合には薬物療法も併用されます。

いままで飲み薬で治療を行ってきた方が妊娠を考え始めた際には、まず医師に相談をおこない、インスリン注射に治療法をチェンジすることが必要になります。
(2014-2015糖尿病治療ガイドP46「妊娠中または妊娠する可能性の高い場合及び授乳中には、以下の経口薬(全ての薬剤)を使用しない」)
飲み薬タイプの経口血糖降下薬は、胎盤を通過し胎児にも吸収されるために、出産後赤ちゃんが低血糖を起こす可能性があるからです。

一方、インスリンは胎盤を通過できないので、赤ちゃんに影響を及ぼす危険性がないのです。

また、妊娠前は食事療法で血糖コントロールができていた人でも、妊娠後期はインスリンの感受性が低く糖尿病でなくても血糖値が高くなりやすい時期です。そのため、定期的に血糖の検査をおこない、必要があればインスリン注射による治療が必要になる場合もあります。
(参考文献:図解でわかる糖尿病:片山隆司)

血糖コントロールで健康な赤ちゃんを

糖尿病を抱えながらの妊娠、出産は妊娠前からの血糖コントロールが重要な条件となります。

妊娠前の適正コントロール値はHbA1c7.0%未満。
妊娠中の適正コントロール値は朝食前血糖値70~100mg/dL、食後2時間血糖値120mg/dL未満、HbA1c6.2%未満です。
(参考HP:http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/080/030/13.html)

(参考文献:2014-2015糖尿病治療ガイド)

糖尿病患者さんの場合、妊娠を希望する際には焦りは禁物。
まず医師に妊娠、出産について相談をし、血糖コントロールの状況や治療法の変更などを考慮しながら、医師と二人三脚で健康な赤ちゃんを産み育てられる体つくりを始めることが第一歩です。

  • 参照・参考
  • 妊娠前・妊娠中の血糖測定|東京女子医科大学病院
  • 知っておきたい!「糖尿病合併妊娠」と「妊娠糖尿病(GDM)」による妊娠・出産のリスクと注意点 | 糖尿病症状セルフチェック.com
  • 妊娠と糖尿病 | 糖尿病情報センター
  • 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013 – 日本糖尿病学会
    糖尿病治療ガイド2014-2015- 日本糖尿病学会

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