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糖尿病と尿の異常について

日本糖尿病学会の『糖尿病治療ガイド2012-2013』では、糖尿病の診断には慢性高血糖の確認が不可欠とされています。
糖尿病という名前ではありますが、尿糖(尿検査による糖の検出)は、糖尿病のスクリーニング検査(病気を発見するための簡易検査)としては非常に有用ですが、確定診断には用いられません。
糖尿病だからといって、必ずしも尿糖が検出されるわけでも、尿糖が検出されたから糖尿病というわけでもありません。

そこで、尿糖が出ても糖尿病じゃない場合はあるのか、なぜ採血による血糖等で診断されるのに糖尿病というのか等について解説していきます。

尿糖が出たからといって糖尿病とは限らない

よく健康診断等で行われる試験紙を使った尿検査がありますが、採尿は採血と違い苦痛なく簡便にできるので、糖尿病の可能性を疑う場合のスクリーニング検査として広く行われています。

私達の腎臓は、糸球体(しきゅうたい)と言われる、ろ過構造により、血液中の不要な成分を血液中から尿へ出しています。
その後、体のエネルギー源として必要な糖をはじめ、必要な成分なのに尿中に出てしまったものが、腎臓の中で再び血液の中に再吸収され戻されていきます。
糖については、個人差がありますが通常血糖値が160~180mg/dl以上になると、再び血液中に再吸収できる能力を超え、尿の中に糖が出てきてしまい、これが尿糖として検出され、糖尿病かもしれないと疑いがかかるようになります。

しかし、尿に糖が出たからといって、必ずしも「糖尿病」というわけではなく、膵炎、甲状腺機能亢進症、心筋梗塞等の病気でも血糖が高くなり、尿糖も陽性になります。
また、逆に血糖値が正常でも尿糖が陽性となるケースもあります。腎機能が弱く尿細管障害等があると糖の再吸収能が低下するので尿糖は出てしまいます。

尿糖が陽性に出た場合は、1日分の尿にどれだけの糖が出ているのかを定量検査したり、静脈血の血糖値検査、HbA1c等の測定により糖尿病かどうかの評価を行ったり、腎機能検査と合わせて腎臓の尿細管機能等の確認を行うなどして、最終的に判断されます。
健康診断等では、空腹時の血糖を測定するため、これらの検査も空腹時に行われることがよくあります。

しかし、尿糖は腎臓でろ過されて出てくるので、通常は血糖より約30分遅れて出てきます。空腹時で採尿した場合、血糖値が高くても境界型やそれに近い軽度のケースだと尿糖は陰性となる可能性があります。

尿糖を測定する場合に、注意しなくてはいけないことに、ビタミンCの摂取があります。ビタミンCを多く含むものを食べたあと検査すると、偽陰性(本当は陽性なのに、陰性という結果が出てしまう)になる場合がありますので注意が必要です。

その他、尿を検査する意義は、尿糖だけではありません。尿試験紙では、尿蛋白についても調べることができます。この尿蛋白は、腎臓に疾患がある場合に陽性になります。
糖尿病の合併症として知られている糖尿病性腎症などでは陽性となりますので、尿検査試験紙は、尿糖とともに尿蛋白を調べることにより、腎臓の状態を同時に判定できる検査として有用です。

尿糖で診断されるわけではないのに、なぜ糖尿病と呼ばれるのか

「糖尿病」の名前の由来は、血糖の測定ではなく、患者の様態からつけられたもので、西暦2世紀頃にさかのぼります。
飲んだ水がどんどん尿となって出てくる患者が、絶え間なく水が流れるサイフォンと同じだということで、ギリシャ語で 「通り過ぎてしまう」 という意味の 「サイフォン」 という名称がつきました。

これがラテン語の「ダイヤベテス(Diabetes)」となり、蜂蜜のように甘いことを意味する言葉であるmellitusと一緒になって diabetes mellitus という言葉が誕生しました。
よく医療機関でDMと糖尿病のことを言ったりしますが、これはdiabetes mellitus を略したものです。

1674年に、この尿が蜜のように甘いということが分かり、日本に初めてこの病気の名称が紹介されたとき、「蜜尿病」と訳されました。やがてその甘さがグルコース(ブドウ糖)によるものということが分かり、1907年第4回日本内科学会講演会後に「糖尿病」に統一されたという経緯があります。

国際糖尿病学会が日本ではじめて開催された1994年に記念切手が発行されていますが、その切手にはインスリンの結晶とともに藤原道長の肖像がデザインされています。
これは、日本で記録に残っている最初の糖尿病患者が藤原道長とされているからです。

まとめ : 糖尿病に対する尿検査の意義

糖尿病の診断には、静脈血が使われ、血糖の測定も簡単に行えるようになってきました。しかし、尿糖の測定は糖尿病のスクリーニング検査として十分に意義があります。
通常は、血糖値が160~180mg/dlを超えると尿中に糖が検出されてきます。この境界は敷居のようなもので閾値(いきち)と呼ばれますが、この閾値は若者では低く、高齢者では高くなります。

つまり若者では血糖が正常でも尿糖が出ることもあり、高齢では高血糖でも尿糖が陰性となることもあり、個人差もみられることから、確定診断ではなくスクリーニングとして使われています。

尿検査試験紙では、尿糖以外に、尿蛋白等も調べることができます。糖尿病の病歴が長くなると腎臓が悪くなる場合があり、糖尿病腎症の悪化を防ぐためには、血糖に加えて、血圧コントロールなどが大切になってきます。
こういった治療計画を立てる意味でも、尿糖や尿蛋白を調べる糖尿病の尿検査は有用であると言えます。

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