【医師監修】1型糖尿病のひとつ、緩徐進行1型糖尿病とは

1型糖尿病の3つのタイプ

1型糖尿病は、膵臓のβ(ベータ)細胞が破壊されることでインスリンが分泌されなくなる病気です。
β細胞が破壊される機序が不明の場合(特発性)もありますが、多くは遺伝的な素因に、ウイルス感染などをきっかけとして発症すると推測されています。

1型糖尿病は、進行の経過によって3つに分類されています。

ひとつは、糖尿病の発症後、数日のうちにβ細胞が破壊されてインスリンが分泌されなくなるタイプです。劇症1型糖尿病と言い、急激に高血糖となりインスリン療法が必要になります。
ふたつ目は、いわゆる1型糖尿病と呼ばれてきたものです。口渇、多尿、体重減少などの糖尿病の症状があらわれてから3ヵ月以内でインスリンが必要となるタイプで、急性発症1型糖尿病と呼ばれます。

劇症1型糖尿病と急性発症1型糖尿病は、発症後急激にインスリンが不足するため、著しい高血糖によって血液が酸性になるケトーシスやケトアシドーシスに陥ることが特徴です。

もうひとつが、緩徐進行1型糖尿病です。発症当初は、2型糖尿病と同様、食事や経口血糖降下薬のみで治療でき、発症後3ヵ月以内にインスリン療法を必要としない糖尿病です。徐々にβ細胞の機能が低下して、発症から数年をかけてインスリンが分泌されなくなります。

緩徐進行1型糖尿病とは-2型糖尿病との違い

糖尿病でもっとも患者が多い2型糖尿病は、もともと体質としてもっているインスリンを分泌する能力とインスリン感受性に、過食や運動不足による肥満やストレス、加齢といった環境因子が加わって、血液中の糖の代謝がうまく回らなくなり、高血糖状態になって発症します。

このように、1型糖尿病と2型糖尿病は、発症の年齢層や原因が異なるのですが、糖尿病としての症状や診断方法は、基本的に同じです。そのため、中高年で肥満や生活習慣の乱れのある方の糖尿病は、2型糖尿病であると診断されることが多いと考えて良いでしょう。

しかし、発症当初は2型糖尿病と思われる糖尿病の中でも、1型糖尿病の発症原因である、膵臓のβ細胞の破壊を伴うタイプがあることがわかってきました。これを「緩徐進行1型糖尿病」といい、一般的な1型糖尿病(急性発症1型糖尿病)と異なり、ゆっくりとインスリン分泌が低下します。グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体や膵島細胞抗体(ICA)などの膵島関連自己抗体が陽性であるため、1型糖尿病のひとつのタイプとして分類されるようになりました。

一般的には、発症から3~4年で1型糖尿病の治療方法であるインスリン療法が必要となる病気ですが、10年以上もインスリン分泌が保たれて、インスリン療法を必要としない場合もあります。

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