糖尿病と透析治療の関係。透析治療になる前に知っておきたいこと

日本透析医学会の全国4,279施設を対象に実施した調査集計によると、日本の慢性透析患者数は、2012年末の段階で約31万人にのぼっています。
透析の原因となった疾患をみてみると、糖尿病腎症が原因での透析患者数がついに11万人を超え、全透析患者に対する割合では37.1%とトップになっています。

透析治療は、週3回程度通院しなくてはいけなかったり、毎日処置をしなくてはいけなかったりと治療費に加え、時間的制約も受けてしまいます。
さらに水分や塩分などの摂取も控えなければならず、むくみやだるさといったつらい症状に加えて精神的ストレスの原因にもなります。
できれば透析が必要となる前に対処したいところです。

透析治療はどんな時に行われ、なぜ必要なのか

透析治療は機能が弱くなった腎臓の代わりに、人工的に体の余分な水分や老廃物をろ過して体外に出す治療法です。
透析治療は、腎臓が機能しなくなった腎不全の状態に対して行われます。
腎不全をそのまま放置すると、排泄できなくなった老廃物が体にたまり尿毒症となり、体がだるく、吐き気や頭痛、けいれんや昏睡状態となり命に関わる事態に発展してしまいます。

透析治療の方法

透析の方法は、大きく分けて血液透析と腹膜透析があります。

血液透析は、血液を体の外に取り出し、体にたまった余分な水分や老廃物を器械で取り除く透析方法です。
血液透析には4時間程度かかります。
この間患者さんは動き回ることはできませんが、ベッドの上でテレビを見たり、読書をすることは可能です。

腹膜透析では、まずカテーテルという柔らかいチューブを簡単な手術で腹部に埋め込みます。
そのカテーテルを通して、老廃物を取り除くことができる液体(透析液)をお腹の中に出し入れすることで血液を浄化します。(このカテーテルは体の外に少しだけでている状態で、このカテーテルと透析液が入ったパックをつなぐことで、お腹の中に透析液を出し入れすることができます。)(図参照)
透析治療© 誠医会 松山医院 大分腎臓内科

血液透析が医療機関で行われるのに対し、基本的には在宅で行われ、通院は月1~2回程度です。
また、腹膜透析には、寝ている間に器械を使って自動的に行う方法と、日中に数回透析液バッグを交換する方法の2種類があります。

いずれの透析方法も、たんぱく質などの栄養成分が失われてしまいます。
そのため、透析を受けているときはその分の栄養素を補うことが必要です。
また逆に、水分、ナトリウム、カリウム等は摂取制限をしなければなりません。
水分は、腎不全のためにうまく排泄ができず、むくみや血圧上昇につながるためです。
塩分(ナトリウム)は、高血圧やのどの渇きを誘発するため、またカリウムも本来腎機能で調整しているため摂取を控える必要があります。
また、カリウムが血液中に多くなると、心臓に負担をかけたり手足のしびれが出たりします。

糖尿病腎症の進行と治療

糖尿病患者さんで透析が必要になるのは、「糖尿病腎症」という合併症を発症し、重症化させてしまった場合です。
糖尿病腎症は20~30年の長い期間をかけて、末期の腎不全状態へと進行していきます。
糖尿病で血液中に糖が多い状態が続くと、腎臓の微細血管が障害を受け、腎臓内の血圧が上昇し、腎機能に障害を起こしその機能を低下させてしまうのです。

この糖尿病腎症は、早期から血糖・血圧・脂質をコントロールし進行を抑えることが重要です。
そのため治療としては、運動療法・食事療法・薬物療法が行われます。

糖尿病腎症の初期段階は、尿たんぱくも出ませんが、腎機能を検査すると血液をろ過する機能の低下が見られます。
血糖値を抑えるべく運動療法や食事療法を取り入れ、塩分を制限し血圧は130/80mmHg未満を目指した治療を行います。

糖尿病腎症が少し進むと、運動時に尿たんぱくが出てきます。
他にも網膜症等の微小血管合併症や神経症が発症することがあります。
合併症を起こしたり悪化させたりしないためにも、運動療法や食事療法を続けながら、塩分を抑え、血糖と血圧のコントロールをする薬を投与し、進行を抑える治療をしていきます。
また、腎機能を保護するため、腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑える効能がある薬も処方されます。

糖尿病腎症が進行すると、たんぱく尿が顕著に出てきはじめ、そのままいくと腎不全になる可能性が高まります。
厳格な血圧コントロールが必要となり、血圧は130/80mmHgで塩分は1日6gを目標にたんぱく質の摂取量も抑えるようにします 。

透析治療となる前に

糖尿病で、合併症として糖尿病腎症による腎不全で透析治療をしなければいけなくなると、食事制限や時間的拘束など、日常生活に大きな影響が出てきます。

糖尿病は初期症状が分かりづらく早期発見が難しいと言われていますが、なるべく早い段階できちんと血糖をコントロールするなどの日常的な心がけが重要です。
そのことで合併症を防ぐことができるのです。

糖尿病が進行し、合併症を発症すると、血糖だけでなく、血圧・脂質のコントロールなどさまざまな制限が出てきてしまいます。
透析治療となる前に、医師の治療に従い、できるだけ症状を食い止めたいものです。

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