治療と予防コラム

糖尿病の基本治療「運動療法」。ただし、運動をやってはいけない人も

糖尿病の基本治療では、食事療法と並んで大切なのが運動療法。
運動することによって、血糖値を低下させたり、インスリン抵抗性を改善(インスリンの効きを良くする)したり、高血圧や脂質異常症を防いだりとさまざまな効果を得ることができます。

しかし、糖尿病患者さんの病状によっては、運動によって糖尿病や合併症を悪化させる原因になることがあります。ここでは、運動を避けた方が良い場合と、その理由について解説していきます。


運動療法を禁止、または制限した方が良い場合

糖尿病患者さんにおいて、運動療法が禁止または制限される場合は、主に糖尿病の合併症が進行していたり、他の疾患を持っている場合です。
これらの場合には、良かれと思って始めた運動がかえって病状を悪化させたり、新たな合併症の原因にもなりかねないので注意が必要です。


  • 代謝コントロールが極端に悪い場合
    (空腹時血糖値250mg/dl以上、または尿ケトン体中等度以上陽性)
  • 糖尿病網膜症で、眼底出血があったり、出血の可能性が高い場合
  • 糖尿病腎症が進んでいる(腎症後期、不全)場合
    (血清クレアチン、男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上)
  • 高度の自律神経障害がある場合
  • 心筋梗塞、狭心症など、心肺機能の障害がある場合
  • 骨や関節などに疾患がある(特に肥満の方や高齢者)場合
  • 重症の高血圧がある場合
    (収縮期血圧180mmHg以上、または、拡張期血圧110mmHg以上)
  • 糖尿病壊疽がある場合
  • 急性感染症にかかっている場合

いずれの場合も、かかりつけの医師と専門医への相談を

糖尿病の進行具合や合併症の病状などは人によってさまざま。
たとえば、糖尿病腎症を患っていても、軽度であれば運動を奨められることもあります。
自分がどのくらいの運動をしても良いのか、あるいは日常行為以外の運動はなるべく避けた方が良いのか、まずはかかりつけの医師に相談するようにしましょう。

また、網膜症がある場合には眼科医、骨や関節に異常がある場合は整形外科医など、その病気の専門分野の医師の指示も仰ぎましょう。
ウォーキングはNGだけれど、水中歩行はOKといったように運動内容を制限され、運動自体は行った方が良い場合もあります。


運動の制限がない場合でも、運動を避けた方が良い場合も

またこれらの合併症などがなく運動療法が推奨される場合にも、風邪気味などの体調不良、食事から長時間経っている(特に朝食前)、血圧・血糖が普段よりも高め、悪天候といった場合には、運動を避けた方が良いでしょう。
運動療法は継続することが大切ですが、その日の体調に合わせて、時には運動を休むことも必要です。


自分の病状を把握して、正しい治療を進めましょう

糖尿病は進行すると体のいたるところに症状が出ます。
それらは互いに影響しあい、複雑に絡み合っていることも多いため素人がすべてを把握することは難しいですが、医師の説明をよく聞いて納得して治療を進められるようにしたいものです。
運動については、行うと悪化のリスクを高める場合があることをよく理解しましょう。糖尿病とうまく付き合っていくことが大切です。

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