治療と予防コラム

原因の異なる糖尿病。もっと知りたい「1型糖尿病」の治療は?


膵臓細胞の破壊による1型、生活習慣による2型

まず1型と2型の違いを見てみましょう。

糖尿病の大半を占める2型糖尿病は生活習慣と大きな関連があり、その原因として加齢や肥満、食事の摂り過ぎ、運動不足などが挙げられます。
私たちの体では、膵臓から分泌されるインスリンによって、食事などで上がった血糖値を下げて一定に保っています。
しかし、生活習慣の乱れなどのよって、インスリンの分泌が悪くなったり効果が出にくくなることで、慢性的に高血糖状態が続いてしまうと、ゆっくりと2型糖尿病の発症につながっていきます。


一方1型糖尿病は、その発症の原因は生活習慣との関連はありません。
自らの細胞を攻撃してしまう自己免疫によりインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れてしまうことが主な原因ですが、その詳細な原因は解明されていないのが現状です。


発症年齢は、2型では中年以降の方が多いのに対し、1型では子どもや若い年齢層にも多いのが大きな特徴です。

また1型の場合、急激に症状が進行します。最初は発熱などの風邪のような症状から始まり、その後、激しくのどが渇くなどの症状が現われます。
合わせて、尿が多くなったり、食べているのに痩せるといった症状が出ます。このような症状が見られたら直ちに受診しましょう。

インスリンはブドウ糖をエネルギーに変えて血糖値を下げる働きがありますが、1型ではインスリンの分泌がほとんどない状態。
そのため血中にブドウ糖が溢れ、血糖値が急激に上がります。
またエネルギー源としてブドウ糖を利用できないため、脂肪からエネルギーを得ようとし、その過程で産生される「ケトン体」という物質が血中に大量に増える(「ケトアシドーシス」)と昏睡状態に陥りかねず、生命にかかわる極めて危険な状態になることもあります。


1型糖尿病の治療は「インスリン注射」がまず基本

1型糖尿病では膵臓の細胞が壊れてしまい、インスリンがほとんど分泌されなくなります。そのため、注射でインスリンを補充し、血糖値をコントロールすることが必要不可欠です。

インスリン注射は1日数回に分けて行います。
健康な人では、食事をしていなくても少しずつ出ている「基礎分泌」と、食事を摂ると急速に出る「追加分泌」の2つのインスリン分泌パターンがあります。

インスリン製剤には効果の出る速さから、超即効型・即効型・混合型・中間型・持効型に分かれていますが、食前には効果が早い超即効型を、睡眠前には効果が長時間持続しやすい持効型といった具合に使い分けて注射し、本来の分泌リズムに近づけます。

血糖値は食事内容や量・活動量などによっても変動します。医師の指導の下、インスリン注射の量も、血糖値に合わせて調整することが必要です。
そのため、1日数回血糖値を測定・記録して管理することも大切。
記録することによって、どのようなときに血糖値が下がりやすいか、インスリン注射量をどう調節するかを学んでいくことができます。

他にも、インスリン持続皮下注入療法 (CSII)を行う場合もあります。

これは、携帯用音楽プレーヤー程度の大きさのインスリンポンプを用いて、体内に留置した針(柔らかい素材の針)からインスリンの持続注入を行います。
食事のときには追加注入し、血糖値の上昇を防ぐことができます。
血糖値の変動に対応しやすくなるため、血糖値コントロールのためにかける精神的・時間的負担を軽減することができます。

1日数回の注射を毎日行うことは心理的負担が大きいものです。
インスリンが効きすぎて低血糖になったら?という不安もあるでしょう。
そういった意味でも、インスリンポンプは、1型糖尿病患者さんにとって生活の質向上に大きく貢献しているといえます。
CSIIは保険診療が可能です。詳しくは医師に尋ねてみてください。

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