治療と予防コラム

知って納得!糖尿病の検査&数値ガイド

糖尿病の主な検査には、「血液検査」と「尿検査」があります。
糖尿病ではよく行われる検査ですが、「何を調べる検査なのか」「数値の基準値が分からず、自分の状態がわからない」といったことがあるかと思います。

そこで今回は、今さら聞けない糖尿病の検査や数値の疑問を一挙解決!
検査の内容から特徴を解かりやすくご説明していきます。


その場の血糖の値がまるわかり ~血糖値検査~

血糖値は、血中にどのくらいのブドウ糖が含まれているかを知るための数値です。

通常、血液中のブドウ糖の量は、食事による糖の供給と、体内での代謝によりバランスが保たれています。
しかし、血糖値を下げ、代謝を調整する働きをもつインスリンの作用に問題が生じると、慢性的に高血糖状態となり、糖尿病を引き起こす原因となります。

血糖値検査は、HbA1c(次段落参照)検査と違い、検査時の値がそのまま反映するので、一日を通した血糖値の変化が把握できる点で、糖尿病診断における大切な検査の一つとされています。


血糖値を知るための検査には2種類あります。


空腹時血糖検査:前日夕食後から翌朝の検査まで絶食をおこなった後の血糖値を調べる
空腹時の血糖値を計ることで、食事の影響を除き、代謝が正常に行われ、血糖値のバランスがとれているかどうかを知ることができます。


75g経口糖負荷試験(OGTT):空腹時に75gのブドウ糖溶液を飲用し、飲用1時間後と2時間後の血糖値をはかり、食後の血糖値の変動を調べる
OGTTは食後のインスリンの効き具合と食後の血糖の変化を知ることができ、心血管疾患のリスクと関連性が深い点でも大切な指数とされています。


では、この2つの検査の基準値や糖尿病判定基準と目標値を見てみましょう。


糖尿病判定基準

判定基準(判定区分) 正常型 境界型 糖尿病型
空腹時血糖 110mg/dl未満 110~126mg/dl未満 126mg/dl以上
75gOGTT負荷後2時間 140mg/dl未満 140~200mg/dl未満 200mg/dl以上

糖尿病型・・・糖尿病が疑われ、再検査が必要な状態
境界型・・・・糖尿病に準ずる状態。生活習慣の改善を要する

※「正常型」は2つの試験の数値を満たすことで判定されます。
一方、「糖尿病型」はどちらか一つでも当てはまれば「糖尿病型」の判定となります。


糖尿病患者さんのための血糖コントロール目標


  基準値 合併症予防のための目標
空腹時血糖値 70~109㎎/dl 130㎎/dl未満
75gOGTT負荷後2時間血糖値 140㎎/dl未満 180㎎/dl未満

※糖尿病型:糖尿病が疑われ、再検査が必要な状態
(参照:2014-2015糖尿病治療ガイド)


過去1、2か月の平均血糖値が反映 ~HbA1c検査~

HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)値とは、糖と結びついたヘモグロビンが何%あるかを示す値です。

通常、ヘモグロビンは正常な血糖状態ではブドウ糖と結合することはありません。
ですが、血糖が高い状態が続くと、血中の赤血球に含まれるヘモグロビンとブドウ糖が強く結びつき「HbA1c」が産生されるのです。
血糖値検査は検査時の値を知ることのできる一方、HbA1cには過去1ヵ月間の血糖状態が50%、過去1ヵ月~2ヵ月までの血糖レベルが25%、残りの25%が過去2ヵ月~4ヵ月までの血糖を反映し、検査時から近い過去の血糖状態ほどHbA1cへの影響が大きいとされています。(American Diabetes Association: DIABETES CARE, VOLUME 16, NUMBER 9, SEPTEMBER 1993)

そのため、過去1、2か月間の平均血糖値を反映する数値として、糖尿病の診断に用いられる重要な検査となっています。


糖尿病判定基準と、糖尿病患者のための血糖コントロール目標値

  基準値 糖尿病型
コントロール目標値
血糖正常化を目指す際の目標 合併症予防のための目標 治療強化が困難な際の目標
HbA1c(%) 4.6~6.2 6.5以上 6.0未満 7.0未満 8.0未満

(参照:2014-2015糖尿病治療ガイドP25)


高血糖状態の判別ができる ~尿糖値検査~

尿糖は、尿中に含まれるブドウ糖のことです。糖尿病による糖代謝の異常を知るために用いられます。

健康な人ならば、血中に流れるブドウ糖は腎臓糸球体というところで尿の元となる原尿中に排出されます。
その後、腎臓の尿細管という器官でブドウ糖が再吸収され、血液中に戻ります。
しかし、血中のブドウ糖の量が増え、血糖値が160~180㎎/dl以上になると、尿細管が再吸収できる許容限度を超えてしまい、余ったブドウ糖が尿中に含まれるようになります。

血糖値とHbA1cとの大きな違いは、人によってブドウ糖が再吸収される許容限度に個人差があること、内服中の薬剤に影響を受ける場合があることから、糖尿病の診断に直接関係しない場合もあるということです。

ですが、尿糖値の検査は尿検査ですぐに結果を知ることができるので、糖尿病の症状を知る上での検査のひとつとして頻繁に用いられ、他の血糖値検査と併せ総合的な診断に活用されています。


尿糖検査にはさまざまな種類がありますが、現在、医療機関やセルフチェックでの使用頻度の高いのは「尿糖検査紙」です。
「尿糖検査紙」の判定基準は次の通りです。


尿糖値

   陰性(-)正常 疑陽性(±) 陽性(+)要検査
尿糖値 50㎎/dl未満 50~100㎎/dl未満 100㎎/dl以上

通常、健康な人であれば尿糖が出ることはないため、陰性が正常値となります。
ですが、糖尿病によって血糖が160mg/dl以上の高値を示すと、尿糖がみられるようになり(陽性)、その値が高いほど糖尿病の病状が悪化しているということになります。


(テルモ:新ウリエースGA
http://www.terumo.co.jp/consumer/products/healthcare/shikenshi/ga.html)


検査数値を把握し糖尿病の改善に役立てましょう

今回ご紹介した検査はどれも糖尿病の状態を知るために欠かせないものばかり。
そのため、受診時にこれらの検査を行うことも多いでしょう。

何を知るためのどんな検査を行い、自分が今どのような状態なのかを正しく知ることにより、糖尿病の理解が深まり、生活習慣の改善などにもつながっていきます。

検査や検査結果でわからないことがあれば、医師や看護師に尋ねることも大切です。
正しい知識を身に付けて、糖尿病の治療や予防に役立てていきましょう。

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