日夜研究が進む糖尿病最新治療。再生医療で注目されるiPS細胞って?

現代の医療では、症状の進行を食い止め、落ち着かせることはできても、一度患ったら完治することがないと言われている糖尿病。
しかし根本的な治療方法として、再生医療分野の研究は日々進んでおり、画期的な治療方法が現実のものになることが期待されています。
そこで今回は、昨今注目を集めている「iPS細胞」についての研究結果をご紹介します。

再生医療の最先端!「iPS細胞」から、糖尿病に関わる「β細胞」を作る

サンスター社では糖尿病に関する様々なあらゆる情報発信を行っていますが、その中のニュース記事として次のようなものがありました。

【5分でわかる】再生医療を応用した糖尿病治療の未来!

糖尿病診療機関「ジョスリン糖尿病センター」の研究報告の記事で、再生医療の分野で注目される多能性幹細胞「iPS細胞」から、糖尿病で機能不全、あるいは機能が衰えている「β細胞」を新たに作り、糖尿病の画期的な治療に役立てる、という内容です。

<そもそも「iPS細胞」って?>

「iPS細胞」とは、2006年に京都大学の山中教授らによって作製された人工多能性幹細胞のことで、さまざまな組織や臓器に変化・増殖することができます。これまで、他人からの移植しか道が残されていなかったような治癒不能の臓器なども、自分の細胞から「iPS細胞」を作製することができれば、ダメになってしまった臓器や組織を作って再生させることにより、難治・不治と考えられていた病気の根本治療が可能になるかもしれない、と注目を浴びているのです。

 

また、「iPS細胞」は、患者自身の細胞から作ることができるため、拒絶反応なども起こりにくいと考えられています。

<「iPS細胞」から「β細胞」を作る。糖尿病との関係は?>

 

記事にもありますが、糖尿病は血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌量が減ったり、効きが悪くなってしまうことによって、高血糖状態が続いて発症します。インスリンは、膵臓のランゲルハンス島という部位の「β細胞」から分泌されます。しかし、さまざまな原因で膵臓の機能に異常が生じ、「β細胞」からのインスリン分泌量が減ることで、慢性的な高血糖状態に陥り、糖尿病が起こるのです。

 

機能不全となった「β細胞」は自然には再生が不可能ですが、「iPS細胞」によって、「β細胞」を新たに作ることができれば、不治の病である糖尿病も治る可能性が出てくる、というわけです。

患者さんの負担の大きい1型糖尿病の治療にも光

糖尿病には、1型と2型があり、この2つは原因が異なります。2型糖尿病は加齢や生活習慣が主な原因となって、インスリンの分泌・作用不足で起こるのに対し、1型糖尿病の原因は不明ですが、膵臓の「β細胞」が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなって発症します。

現在、1型糖尿病は、主にインスリン注射によって不足しているインスリンを補給する治療法がとられますが、毎日自分で注射を打たなければならず、患者さんの負担は大きいものです。さらに、1型糖尿病は子どもや若年層での発症率が高いため、将来の不安を抱える患者さんも少なくありません。

また、インスリン注射等による厳密な治療のほか、β細胞のあるランゲルハンス島自体を他人から移植する治療法もありますが、提供者が少なく、移植できたとしても自身の免疫機能による拒絶反応も懸念されます。
もし、患者さん自身の体細胞から「β細胞」を作って、それを体内で正常に機能させることができれば、1型糖尿病の根本的で画期的な治療が期待できます。
2014年にカリフォルニア大学グラッドストーン研究所から、「β細胞」の作製に成功し、マウスでの実験にも成功したとの報告がありました。この報告は、1型糖尿病の治療に一筋の光が射すものとも言えるのではないでしょうか。

マウスでは成果が見られる「β細胞」の再生。さらに進む研究と試験

他にも、アメリカを中心に、β細胞の再生、さらにβ細胞を実際に動物に移植して行われるインスリン分泌の試験は日夜盛んに行われています。
ハーバード大幹細胞研究所のダグラス メルトン教授らは、科学誌「Cell」で、糖尿病を患ったマウスでのβ細胞の移植試験を行い、数か月にわたりインスリンが分泌、高血糖状態の改善を確認したことを報告しています。

メルトン教授らはこの成功に至るまで、15年を要したそうです。また、これまで、β細胞の再生は理論的に可能でも、体内で機能させることは不可能だと考える研究者も多かったのだとか。しかし、今回マウスでの試験成功や、霊長類での試験も進められ、ヒトでの試験も2~3年内に開始されるだろうとの見込みから、今後飛躍的な進歩があるのではと大きな期待が寄せられているのです。

研究が進めば、近い将来糖尿病の根治も可能になる!?

いかがでしたでしょうか。

現在の糖尿病の治療は、1型糖尿病においてはインスリン療法、2型糖尿病では食事療法、運動療法、薬物療法(インスリン注射など)を日々継続的に行っていく必要があります。

今は「根治はない」と言われる糖尿病ですが、根治を目指して多くの医師や研究者たちが、研究や試験に励んでいます。
今回紹介したような再生医療の進歩は、糖尿病患者さんやその家族にとって、とても明るいニュース。近い将来新しい治療法が確立されることを期待しましょう。

  • 参照・参考
  • 【5分でわかる】再生医療を応用した糖尿病治療の未来! – 糖尿病とうまくつきあう
  • iPS細胞とは? | よくある質問 | もっと知るiPS細胞 | 京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)
  • Small Molecules Facilitate the Reprogramming of Mouse Fibroblasts into Pancreatic Lineages: Cell Stem Cell
  • Generation of Functional Human Pancreatic β Cells In Vitro: Cell
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