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【医師監修】合併症予防のために知っておきたい、糖尿病と「中性脂肪」との関係

糖尿病で気がかりなのは合併症。合併症に起因する代表として「血管障害」がありますが、この「血管障害」は全身にさまざまな悪影響を及ぼし、最悪の場合、命に関わることもあるので注意が必要です。

今回は、血管障害の大きな原因にもなり得る、「中性脂肪」について見ていきたいと思います。

糖尿病の「血管障害」に深く関係する原因4つ

糖尿病の合併症といえば、何を思い浮かべるでしょうか?

よく知られるのは、糖尿病腎症(腎不全)、網膜症、脳梗塞、足先の壊死(下肢閉塞性動脈硬化症)などですが、これらはすべて血管障害によって起こるものです。血管は全身に張り巡らされているため、体のさまざまな部位で障害が起こってしまうのです。

では、なぜ糖尿病患者さんは血管障害が起こりやすいのでしょうか?血管障害の起こる背景として、とくに深く関係しているのは次の4つです。

(1)高血糖

糖尿病では血糖値が高い状態が続きますが、この状態は血液中にブドウ糖が常にあふれているということ。ブドウ糖が変化した物質が、血管に付着・蓄積し、血管障害を招きます。

(2)高血圧

糖尿病患者さんでは約4~6割の人が併発していると言われる高血圧。血糖値が高い状態では、浸透圧の関係で体内の水分が血管のほうへ移動します。そのため、血液量が増えてしまい、血管にかかる圧力(血圧)が上昇します。血管に常に高い圧がかかっていると、血管の壁に負担がかかるため血管障害が進行します。

(3)高LDLコレステロール血症

LDLコレステロールとは、いわゆる「悪玉コレステロール」。血液中のLDLコレステロールが高くなると動脈硬化を進行させるため要注意。
LDLコレステロールが増える要因は食べ過ぎや運動不足などですが、糖尿病になりやすい生活習慣と共通しています。そのため、糖尿病患者さんでLDLコレステロール値が高い方もよく見られるのです。

(4)高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)

糖分がエネルギー源として使われずに余ってしまった場合、肝臓で中性脂肪(トリグリセライド)に形を変えられ、飢餓時に備えて貯蔵します。血液中に中性脂肪が増えすぎると血管壁に蓄積されるため、血管障害を引き起こす原因となります。高血糖の場合、血液中に中性脂肪の原料がたくさんあるので、中性脂肪が増えてしまうのです。

このように糖尿病患者さんは、高血糖や高血圧に加え、コレステロールや中性脂肪の影響で血管障害が進みやすい状況にあるのです。

中でも、糖尿病患者さんは高い頻度で、(4)高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)を併発しています。
そもそも、糖尿病において血糖値が高くなる理由には、インスリンの働きが低下することにより、糖分の利用効率が悪なっていることが挙げられます。このことにより、余っている糖分から中性脂肪に変換される量が増えてしまい、結果、中性脂肪値が高くなって「高中性脂肪血症」を引き起こすのです。

体内における中性脂肪の流れ。糖尿病患者さんは中性脂肪が高くなりやすい

前述のとおり、血管障害の原因のひとつでもある中性脂肪。糖尿病患者さんは、中性脂肪値が高くなりやすい状況にあります。

ここで、体内における中性脂肪の流れについて見てみましょう。

肝臓で合成された中性脂肪やコレステロールは「リポ蛋白」というものに詰め込まれて血液中に放たれていきます。
リポ蛋白とは、脂肪をタンパク質で包んだ粒子のようなもので、全身に脂肪を運ぶ役割を果たしています。

血液中に放たれた中性脂肪の量は「リポ蛋白リパーゼ(LPL)」という脂質分解酵素によって調節されています。
リポ蛋白リパーゼは血管壁に存在していて、流れてきたリポ蛋白を分解することで、中性脂肪が増えすぎないようにしているのです。

リポ蛋白リパーゼは、インスリンによって活性化されます。
インスリンの作用が低下した糖尿病患者さんでは、リポ蛋白リパーゼの分泌も少なくなるため、中性脂肪値が高くなりやすいのです。

食事と運動で中性脂肪値のコントロールを、場合によっては投薬も

では、血管障害の原因となる中性脂肪をうまくコントロールするにはどうすればいいのでしょうか?

やはり、基本は糖尿病の治療と同じく、食事療法と運動療法をきちんとおこなうことです。
食事療法と運動療法は、糖質・脂質代謝の改善に効果が期待できることが研究で示されています。

<食事療法について>

食事療法は、一日の摂取カロリーを守り、3食に分けてバランスよく食べることが基本です。糖質を多量に含む、ごはん・パンなどの炭水化物は中性脂肪を増やす原因となるので摂り過ぎに注意しましょう。また、脂質の摂り過ぎによるカロリーオーバーにも要注意です。脂質は牛肉などの脂肪の多い肉、乳製品、揚げ物に多く含まれています。

そして、肥満はインスリンの働きを悪くし、その結果リポ蛋白リパーゼも減り、中性脂肪を増やすことにつながります。肥満の場合は適切な減量をおこなうことをおすすめします。

<運動療法について>

運動については、水泳や軽めのジョギングなどの有酸素運動がおすすめ。体脂肪が燃焼することによって、中性脂肪を減らすことが可能です。また、運動はインスリンの働きを高めるので、血糖コントロールはもちろんのこと、リポ蛋白リパーゼの活性化につながり、脂肪の流れをよくすることが可能です。

運動開始から20分で体脂肪が燃え始めるとされているので、20分以上続けることが理想です。ただし運動強度などについては、健康状態によっても個人差がありますので、主治医に確認しましょう。

食事や運動でも検査値の改善が見られないときは、次のような薬で中性脂肪をコントロールすることもあります。

(1)フィブラート

脂質の流れを促進するリポ蛋白リパーゼの働きをよくすることで、中性脂肪を下げ、HDL(善玉)コレステロールを増やします。

(2)スタチン

主にLDLコレステロールに働きかける薬ですが、中性脂肪に対しても少し効果があります。

(3)コレステロール吸収阻害薬

腸でのコレステロール吸収を抑える薬です。中性脂肪に対しても少し効果があります。

フィブラートやスタチンでは「横紋筋融解症」という副作用が報告されています。手足・腰などの筋肉のこわばり、痛み、尿の色の異常などがあれば速やかに主治医に報告してください。

血管にダメージを与えるのは高血糖だけではない!中性脂肪コントロールも意識しよう

血管にダメージを与えるのは高血糖だけではなく、血圧や中性脂肪、コレステロールも悪影響を及ぼすことが分かっています。これらすべてを適正にコントロールすることが健康な血管を維持して、合併症を防ぐ道です。特に中性脂肪値が高い場合では、悪玉コレステロールがさらに小さくなった超悪玉コレステロールに変わりやすくなります。超悪玉コレステロールは、悪玉コレステロールよりもより血管障害を引き起こしやすいことが分かっています。そのため、中性脂肪コントロールはとても大切なのです。

自覚症状がでにくいものだからこそ、定期的な受診と採血検査を忘れずに。もし数値に問題があるようであれば、主治医と相談のうえ、生活習慣改善や投薬などでしっかりコントロールしましょう。

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