ここが知りたい!糖尿病診療ガイドライン

はじめに

2013年5月に改訂版が発行された糖尿病診療ガイドラインは、糖尿病治療指針、つまり糖尿病の「最新の治療法」が書かれているものです。
正式には「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」といい、日本糖尿病学会が「糖尿病治療ガイド」とともに改訂を加えながら発行しています。

今回は「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」(以下、診療ガイドライン)についてどんな内容が書かれてあるのかを要約し解説したいと思います。

「糖尿病治療ガイド」との違いは?

診療ガイドラインと糖尿病治療ガイドの違いは、まず発行年です。
診療ガイドラインは2007年に初版が発行され、翌年に糖尿病治療ガイドが実用レベルに落とし込み最新情報を盛り込んで発行されました。
診療ガイドラインは、一つ一つの医療行為に対してどの程度その医療行為を推奨できるかを過去のデータなどによる科学的根拠の信頼性でレベル分けしています。
また世界レベルの基準と比較しやすいように、シンプルにまとめられています。

一方、糖尿病ガイドは、糖尿病専門医に限らず、町の内科の開業医でも糖尿病患者さんを診察できるように具体的な治療方針が記載されています。

「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」の内容は?

具体的に、診療ガイドラインの内容はどのようなものなのでしょうか。
糖尿病専門医が集まり専門領域について資料や文献を根拠に書かれてありますから、
治療ガイドよりも論文調になっており、論文検索時のキーワードとなる単語をもとに各項目が書かれています。

目次を一部列挙していきますと、「糖尿病診断の目標と指針」「食事療法」「運動療法」「血糖降下薬による治療」「インスリンによる治療」「糖尿病に合併した高血圧」「高齢者の糖尿病」「妊婦の糖代謝異常」「メタボリックシンドローム」などがあります。
これらの項目ごとに、広く認知されているコンセンサスおよび、勧められる医療行為や予防・対策について一文でまとめられており、一文ずつにエビデンスをグレードで評価しているのです。また、一文のまとめと合わせて、解説とその根拠となる論文のリストも掲載されています。

診療ガイドラインの読み方は?

ここでは、具体的に診療ガイドラインで良く出てくる用語を解説し、ガイドラインの読み方を例示しながら解説していきましょう。

<用語の解説>
・ステートメント・・・推奨する診断もしくは医療行為についてまとめた一文
・グレード・・・ステートメントの推奨度
 グレードA :行うよう強く勧める
 グレードB :行うよう勧める
 グレードC :行うように勧めるだけの根拠が明確でない
 グレードD :行わないよう勧める
・コンセンサス・・・研究はないものの、医学的に広く認知されていること
・エビデンスレベル・・・論文の科学的根拠に基づく信頼度
 レベル1+、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4と5段階に分けられ、レベル1+ :質の高い試験およびレビューがあるという信頼性の高い評価から、レベル4ですと、いくつかの症例を集めただけの比較的信頼性の低い評価まであります。

それでは、これらの用語を踏まえて、実際の診療ガイドラインを読んでみましょう。

(例1)糖尿病の診断

◇慢性高血糖を確認し、さらに症状、臨床所見、家族歴、体重歴などを参考として総合的に診断する(グレードA、コンセンサス)

このように、「糖尿病の診断」というステートメントに対して簡潔に診断基準が書かれており、文末に推奨度と信頼度である「グレードA、コンセンサス」が記載されています。
この例においては、糖尿病の診断基準として強く勧められる方法であり、信頼性の面でも、医学界において広く認知されている事柄であるということがわかります。

(例2)糖尿病大血管症におけるステートメント

◇厳格な血糖コントロールと生活習慣の改善
・厳格な血糖コントロールは、大血管症の発症・進展抑制に有効である(グレードA)

このステートメントに対しての評価は「グレードA」ですので、
糖尿病大血管症になった場合は、医師から厳格な血糖コントロールを行うように強く勧められます。

おわりに

科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインは、医療者向けの内容になっており、文末にエビデンスのレベルがつけられています。
ですからその根拠となる文献がまとめてあるページは、一般の患者さんには少々見づらいかもしれません。
しかし、日本糖尿病学会のホームページ経由でオンラインでの無料の閲覧(http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4)が可能です。

糖尿病の患者さんは、限られた時間でかかりつけの医師と治療方針を決めねばならないことも多いです。
そんな時に、医師の治療方針の意図を理解するツールの一つとして診療ガイドラインを活用することもできます。

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